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なぜ日次資金繰り表?借入金返済スケジュールを管理して資金ショートを防ぐ!
一般的に資金繰り表というと、月毎にチェックする月次資金繰り表を用いることが多いです。さらにそれを1日毎に細分化した資金繰り表を日次資金繰り表と言います。
潤沢な資金がありある程度余裕がある場合は特に不要ですが、次のような場合に必要かと考えられます。
- 大きな借入金返済が近い
- 資金が複数の口座に分散しており、それぞれの口座で借入金返済がある
- お金を無駄なく効率的に回したい
- 経営が苦しいため、日々の入出金を管理することで資金ショートを防ぎたい
以上のような理由から、日次資金繰り表を使いたいと考える経営者がいます。
日次資金繰り表の例
日次資金繰り表は、1日毎の入出金を管理します。メリットとしては1日毎の資金の流れを予測できるので、資金ショートの危険性がぐっと下がります。
また日次資金繰り表を日頃から見る習慣を付けることで、会社全体の資金の流れを掴むことができ、今後の予算計画にも注力することができます。
今回の例で説明すると、1日時点での残高を設定しておきます。その後3日に入出金があり、残高が推移したことがわかります。この予測を前月あるいは前々月時点で立てておき、資金計画を立てるために必要なのが日次資金繰り表です。
それでは次項目で、どのような日次資金繰り表が効率的かについて設計していきます。
日次資金繰り表の設計
前述の通り、日次資金繰り表は詳細な資金計画には欠かせないものです。日次資金繰り表は月に数回開き、予定通り進んでいるかチェックします。そのため、作業効率や視認性の良い資金繰り表が求められます。特に資金ショートしていないかは最も重要な項目です。
今後、自動化することを視野に入れた日次資金繰り表の設計を行っていきます。
銀行口座ごとにシートを分ける
銀行口座が複数ある場合、複数のシートに分けるのが良いでしょう。
例えば売上金は銀行口座Aに入るが、通信費の引き落としは銀行口座B、のようなことあるかと思います。また借入金の返済は銀行口座C、のようなパターンもあるかと思います。口座ごとに日次資金繰り表を作成し、その流れを掴みましょう。
入出金はリストで管理しよう
- 固定経費(出金リスト)
- 固定入金(入金リスト)
これらのシートをそれぞれ作成し、入金と出金をリスト形式にしておきましょう。
資金繰り表のセルに入力しても良いのですが、管理が煩雑になったり、メンテナンス性が悪いためリストにしておくのが良いでしょう。リストから自動で資金繰り表に反映するスクリプトをこの後作りますので、ご安心ください。
日次資金繰り表を使ってみる
上記リンクにて、実際のスプレッドシートのテンプレートを公開していますので適宜ご利用ください。
開始残高を設定する
残高シートを開き、各銀行口座の月初残高を入力しましょう。開始残高が各銀行口座シートへ反映されるように関数を組み込んであります。
また、A1セルにある年月を更新すると、各口座シートへ日付も反映されるように関数を組み込んであります。
またD列にある資金ショートは、各口座の資金繰り表で、一度でも資金ショート(残高 < 0円)が起こるとここに「DANGER!」の文字が出現するよう関数を組み込んであります。
日付、勘定科目毎に予測値を入力する
今回は例として、銀行口座Aシートを使用してみます。
銀行口座ごとに日次資金繰り表に実際の入出金予測を立てて、数字を入れていきましょう。下記パターンの場合を上記の画像で表現しています。
- 11/3(水)に倉庫売上高として100,000円の収入が計上される予定
- 11/3(水)に雑収入として1,000,000円の収入が計上される予定
- 11/3(水)に旅費交通費として10,000円の支出が計上される予定
- 11/3(水)に支払手数料として30,000円の支出が計上される予定
- 11/3(水)に通信費として2,000円の支出が計上される予定
日付と勘定科目の関係性をそれぞれのセルに書き込んでいく。
毎月の入力作業を短縮!GoogleAppsScriptを使って半自動化する
先程の資金繰り表作成では、資金繰り表のセルに直接金額を書き込んでいました。しかし次の2点の問題点がありました。
- 毎月決まった支出や収入を毎回記入するのは面倒である
- セルが合計で1,600以上あり、毎月の作業で見落とす可能性がある
よって毎月決まった入出金のセルへの入力を自動化し、ヒューマンエラーの少ないシステムづくりを目指します。
ボタンひとつで入出金を資金繰り表に反映
固定経費(出金リスト)と、固定入金(入金リスト)を資金繰り表に反映するスクリプトを作成します。
function setValues(sheetname) {
var spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
var sheet = spreadsheet.getSheetByName(sheetname);
for(let i = 2; i< sheet.getLastRow(); i++) {
date = sheet.getRange(i,2).getValue();
account = sheet.getRange(i,3).getValue();
amount = sheet.getRange(i,5).getValue();
bank = sheet.getRange(i,6).getValue();
if(account == "") { continue }
var bankSheet = spreadsheet.getSheetByName(bank);
var accountFinder = bankSheet.createTextFinder(account);
var cells = accountFinder.findAll();
try {
rowIndex = (cells[0].getRowIndex())
} catch(e) {
Browser.msgBox("勘定科目が見つかりません");
}
var value = bankSheet.getRange(rowIndex, date+3).getValue()
bankSheet.getRange(rowIndex, date+3).setValue(value + amount)
bankSheet.getRange(rowIndex, date+3).setBackground("#f2f2f2")
}
}
function main() {
setValues("固定経費");
setValues("固定入金");
}
資金移動のコピペミスを減らす
資金移動の際は、出金元の口座シートで、出金先へ金額を入れるだけで反映されるように既に関数を組み込んでいます。入金計には関数が組み込んであり、特に入力は不要です。
まとめ
日次資金繰り表を作成することで、より詳細な資金繰り計画を立てることができます。
また経営が苦しかったり借入金の返済が近い場合などに、効率的な資金移動をすることが可能となります。1ヶ月のお金の動きを把握できるので、現状分析の意味も込めて日次資金繰り表を作ってみるのも良いかもしれません。
資金繰りは経営にとって重要な作業です。なるべく自動化し、ヒューマンエラーを減らしたシステム作りが求められています。
半自動資金繰り表の作成代行を依頼したい方は下記フォームよりお問い合わせくださいませ。